地域の誇りをはぐくむ学舎

 講演の仕事で高知市から少し離れた山間部にある、高校を訪れた。
そこは四万十川とも並ぶ高知県を代表する清流の近くにある。子供が小さいときには、夏はこのあたりの谷川に来て子供らとよく水遊びをしたものだ。
 この日も本格的な夏到来かと思わせるほどの強い日差しが照り続く中、山間のせせらぎに日頃慌ただしく過ごしている心も癒され、とても気持ちが良い風が谷間を吹き抜ける。
 1学年十数名ほどの小さな学校だが、生徒達がとても素直で伸びやかな印象を受ける。周りの環境がそうさせるのか、とても生き生きと過ごしているようにも感じる。
 この日は、高校生活をどのように過ごして将来どうしていきたいのか、という自己PRの練習をした。その中に、公立高校で唯一の部として全国大会への出場経験もある、地域の伝統的な太鼓のクラブ活動を続けた生徒がいた。
 まとめ役として部活動を続けた彼の話を聞くと、その太鼓を通してこの地域の文化や暮らしに誇りを持っているようにも思えた。
社会人になって、もしこの地域を離れることになっても、その気持ちはずっと大切に持ち続けて欲しいと切に願う。
 この日の帰り道、清らかな川面を眺めながら、とても爽やかな気持ちになったことが何より嬉しかった。