6/16 NPO実務講座 追加補講:育児休業給付について

                       講師:特定社会保険労務士 竹内隆志

当日使用したテキスト資料の中にあった「雇用保険が変わります!」のパンフレットの中で

 2 育児休業給付の給付率が50%に上がります
 ○ 給付率を休業前賃金の40%から50%に引き上げます。

という表現内容が、研修当日に話題となりました。
そこで本日(6月18日)高知労働局の職業安定課に伺い以下の点を確認いたしましたので、お知らせします。
雇用保険上の育児休業に関する給付金としては、具体的には、次の2種類の給付金があります。この二つを総称して「育児休業給付」と呼びます。

           育児休業基本給付金」
育児休業給付
           育児休業者職場復帰給付金」

一定の条件を満たした一般被保険者が育児休業をした期間中には、「育児休業基本給付金」が支給されます。

育児休業基本給付金」

休業開始日から起算した1ヵ月ごとの支給額=*1 休業開始時賃金月額×30%

                     *1 休業開始時賃金日額×支給日数

休業開始時点で、休業終了後に離職することが予定されている方は、支給対象外です。
そもそも育児休業給付は育児休業後も雇用される趣旨のもとに支給されているものだからです。
また、休業期間中に賃金が支払われるケースでは、その間の給付率については以下のように違いがあります。

(注)給付率について

休業期間中の賃金が休業開始時の賃金と比べて

50%以下 ・・・賃金月額の30%相当額

50%を超え80%未満 ・・・賃金月額の80%と賃金の差額

80%以上 ・・・支給されません

育児休業者職場復帰給付金」

育児休業給付金の支給を受けた被保険者が、育児休業終了後被保険者として職場復帰され、被保険者として引き続き6か月間雇用された場合に一時金として、まとめて支給されます。この給付率は19年4月以降、従来の10%から20%に引き上げられました。

育児休業者職場復帰給付金」

休業開始時賃金日額×育児休業基本給付金が支給された支給対象期間の支給日数合計額×20%

当日話題となったのは、この20%については、復帰されなかった場合にはもらえないので、パンフレットの表現中

育児休業給付の給付率が50%に上がります」

となっているのは誤解を生じやすいのでは?ということでした。
確かに私見としても紛らわしい表現ではあると思います。
育児休業基本給付金」の支給を受けた被保険者が職場復帰されて上記の一定期間雇用されると、結果的には、「育児休業給付」として給付率は50%になるのです。

育児休業基本給付金」の支給申請者は、育児休業をされる被保険者の方です。
(労使間で協定を締結し、提出は事業主が行うケースが多い)

この対象要件としては、育児休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あることが必要です。
過去に雇用保険基本手当の受給資格の決定雇用保険受給資格者証)を受けた人はその対象となった期間は除かれることになります。
それ以後に受給資格の決定を受けていない被保険者期間があれば、現在の会社での被保険者期間に通算できます。

前の職場をやめたときにもらった「雇用保険被保険者離職票」の書類をハローワークに提出せず、まだ手元にあるというのであれば、この受給資格の決定を受けていないことになろうかと思われます。
いずれにせよ、各被保険者が対象になるかどうかについては、これまでの各人の事情経過によりますので、くわしくは一度ハローワークで、ご本人等がご確認されることをおすすめします。

給付金は雇用保険から支給されます。手続きは会社が本人に代わってやってくれるところが多いので、産休前に、育児休業をどれくらい取るか決めて会社に伝え、会社から「育児休業基本給付金の申請書」「受給資格確認票」などの申請用紙をもらっておきます。
産前休暇に入る1ヶ月前までに、必要事項を記入して会社に提出しておくといいでしょう。