ジョブカード制度は無駄なのか?

昨日は、事業仕分けの対象になっているという「ジョブカード制度」を活用した、採用実務にあたっての法律知識の講演をしました。

当日はユーストリームで中継し録画もしています。以下の三部に分けて収録していますのでご覧いただければ幸いです。
一部
http://www.ustream.tv/recorded/10428646
二部
http://www.ustream.tv/recorded/10428786
三部
http://www.ustream.tv/recorded/10429236

採用から「ひと」を活かすための法律実務
22年10月26日13時30分〜14時30分
香美市土佐山田町 ハローワーク高知香美出張所会議室にて収録
ジョブカード制度普及促進フェア での基調講演

私が講演で強調したのは、ジョブカード制度を使う、使わないを問わず試用期間や期間雇用にあたって本採用拒否や雇い止めにあたっては事業主側の責任や認められる合理的な基準や理由が必ず求められ、しかも、試用から本採用拒否にあたっては、教育機能と判定機能があり、それに基づくことが重要だということです。ろくに教育指導をせずに正社員としての適格性がなかったというのでは、過去の裁判例から事業主側の義務責任が問われ、本採用拒否の理由としては容易には認められないということなのです。
それゆえ、ジョブカード制度にもとづき、きちんと計画にもとづいた教育訓練制度を経て正社員採用にあたっての判定を行うと、この問題がきれいにクリアされるということで、それも活用の一面かなと思えます。企業もこの機会を経て自助努力でこうした教育機能を確立する事が出来るということを知っていただきたいということなのです。なら、使わない手はないのではないでしょうか。

このことは企業のリスク対策上においてもきわめて有効です。この制度を活用すれば、しかも教育期間中の賃金補助や経費補助があり、本年度導入をはかれば20万円の奨励金が受けられるなど有利な面があります。仕分けの対象になっていても本年度は現在の条件で助成金が受けられるようですので、今からでも遅くないので、是非利用されることをおすすめします。

実は今日民主党事業仕分けの審査対象になっており、その中で厳しい意見が出されることとは思いますが、実際にキャリアコンサルタントとして若年者など非正規雇用の立場で苦しんでいる方々の相談にあたっている者としては、この制度が縮小あるいは、なくなることは非常に残念に思います。
正規雇用を目指されている方々にとっては、自身のキャリア設計や企業が求める人材像について仕事をOJTなどをとうして実感でき、また自信を持つ事が出来た、という声を聴きますし、メリットとして上げられます。企業側だけの効果だけではないのです。
現在の雇用状況はいかに雇用の吸収をはかることが急務であり、その制度の判断基準としてたんにこれまで活用されなかったからというだけで廃止・縮小を決めるのは極めて早計といえるでしょう。
制度のPR浸透がはかられていないのは確かにそうですが、どうすれば浸透させることができるのかという命題を政治を行う側にもきちんと考えていただき、その他の内容も熟慮のうえ、判断していただきたいと願うところです。それが政治家の使命ではないでしょうか。