月とヴァイオリン

syaroushi2009-10-04


山峡の夕べ〜月とヴァイオリン〜。そのコトバに魅せられた私たちはある日静かな山里を訪れた。
主催者が用意されたバスに乗り込み、窓からは深緑の水を貯めこんだ川面をはさむ山間の峡谷が見えてきた。
雄大な自然の中をバスはさらに進む。開けた山里に降り立った私たちは、暮れゆく夕べの満月に出迎えられた。


この日は地域の人も総出で接待におわれている。演奏会の前に団子とお茶が振る舞われ、至極の一時を過ごす。
「この値段で本当にいいの?」と心配したりするが、みんな笑顔で楽しそうだ。館内を学芸員さんに案内され、また新たな発見と感動があった。この草庵に住まいした人物の祖父は薩摩藩士で龍馬と親しく仲の良い友人だったそうだ。


定刻になり、世話役の挨拶と司会者から紹介があり、お待ちかねのヴァイオリン奏者がゆったりと演奏を始めた。
誰もが知っている童謡や有名な詩人達の曲の調べが次々と流れてゆく。最後は、若い人も好むという「ゴンドラの唄」だ。
満月が会場のすぐ上の夜空に見え、周囲の虫の音色がハーモニーとなって、この山里ならではの音楽がクライマックスを迎える。

なんと、素晴らしい響きだろう。豊かさとは、心の中で感じるものか。
11月1日に五台山で草の根のイベント「秋のよさ恋めぐり」を催す一人として、大切な気づきをいただいた。
この「山峡の夕べ」山里の人々に深く感謝したい。